香川県・ことでん終着駅と始発駅を巡る鉄道旅
― 志度線・長尾線・琴平線 4つの駅を訪ねて ―
はじめに
香川県を走る私鉄、高松琴平電気鉄道。地元では親しみを込めて「ことでん」と呼ばれ、県内を東西南北へ結ぶ大切な足として活躍しています。今回はそのことでんの終着駅と始発駅を巡る旅をしてきました。
訪れたのは、志度線の終点・琴電志度駅、長尾線の終点・長尾駅、琴平線の終点・琴電琴平駅、そして琴平線の起点となる高松築港駅。それぞれの駅に立つと、路線の個性や地域の空気が感じられます。
志度線の終点・琴電志度駅
まずは志度線の終着駅、琴電志度駅へ。高松市中心部の瓦町駅から東へ走る志度線には16の駅があり、沿線には観光スポットとして知られる屋島や八栗山があります。
琴電志度駅はどこか懐かしさを感じるかわいい駅舎で、終着駅らしい落ち着いた雰囲気が印象的でした。JR志度駅も近くにあり、乗り換え利用も可能です。
周辺には86番札所志度寺、平賀源内の生家や記念館などもあり、観光拠点としても知られています。地域に寄り添う駅という言葉がぴったりの場所でした。
線路の先が途切れている光景を見ると、「ここが終わり」という実感が湧きます。同時に、ここからまた折り返して高松へ向かう電車を見送ると、旅の循環のようなものも感じられました。


長尾線の終点・長尾駅
次に訪れたのは長尾線の終着駅、長尾駅。のどかな田園風景の中にある駅で、都会の喧騒とは無縁の静かな空気が流れていました。
長尾線は瓦町から東南方向へ伸びる路線で、全部で18の駅があります。沿線には住宅地や学校も多く、観光地というより生活路線としての役割が強い印象です。
その終点である長尾駅はコンパクトながら整然としており、地元の方々に大切に使われていることが伝わってきました。駅の近くには四国八十八ヶ所第87番札所の長尾寺があります。
終着駅というと観光地の玄関口を思い浮かべがちですが、長尾駅は日常の延長線上にある終点。観光色よりも「暮らし」の匂いが強く、鉄道が地域の生活を支えていることを実感できる場所でした。



琴平線の終点・琴電琴平駅
三つ目は琴平線の終着駅、琴電琴平駅です。琴平線には23の駅があり、他の路線と比べて観光色が一気に強まります。
ここは“こんぴらさん”こと金刀比羅宮の最寄り駅。参拝客や観光客でにぎわう、ことでん屈指の観光拠点です。
駅舎はどこかレトロな趣があり、旅気分を盛り上げてくれます。これから石段を上る人々の期待感が伝わってきて、終着駅というよりも「目的地そのもの」といった雰囲気です。JR琴平駅とは約200mほど離れています。
琴平線は利用者が最も多い路線で、高松市中心部と琴平を結ぶ大動脈。その終点に立つと、長い距離を走ってきた電車の「旅の終わり」を感じると同時に、多くの人を運んできた歴史の重みも感じられました。


琴平線の始発駅・高松築港駅
そして最後に訪れたのが琴平線の起点、高松築港駅です。高松港や高松城(玉藻城)跡のすぐそばに位置し、玉藻公園の石垣が見えるロケーションはとても印象的です。
高松築港駅は、ことでんの「顔」とも言える存在。ここから琴平線が始まり、瓦町を経て琴平へと続いていきます。始発駅に立つと、「ここから物語が始まる」という感覚があります。
高松築港駅で発車を待つ電車を眺めていると、これから始まる旅への期待感が自然と湧いてきます。玉藻城からの眺めも良く、駅周辺を歩くだけでも楽しめる場所です。


ことでん終着駅巡りを終えて
志度線、長尾線、琴平線。それぞれの終着駅と始発駅を巡って感じたのは、同じ会社の路線でも表情がまったく異なるということでした。
海を感じる志度線。
生活感あふれる長尾線。
観光色豊かな琴平線。
そして、それらを束ねる起点・高松築港駅。
ことでんは決して大規模な鉄道会社ではありません。しかしその分、地域との距離が近く、駅ごとに個性がはっきりと感じられます。車両も元京浜急行や名古屋市営地下鉄などの車両が活躍しており、広島電鉄と同様に「走る鉄道博物館」のような魅力があります。



最後に
香川県を訪れた際には、観光地巡りだけでなく、ことでんの終着駅や始発駅にあえて足を運んでみるのもおすすめです。線路の先に広がる景色や、折り返す電車の姿を眺めるだけで、旅の味わいがぐっと深まります。
ことでんの駅巡りは、香川という土地の表情をゆっくりと感じられる、贅沢な時間でした。