瀬戸内海に面した海城・玉藻城を訪ねて|高松の歴史を感じる名城
はじめに
香川県高松市の中心部、JR高松駅から歩いてすぐの場所にある玉藻城。現在は玉藻公園として整備され、市民の憩いの場であると同時に、高松の歴史を今に伝える貴重な史跡となっています。瀬戸内海に面した珍しい「海城」として知られ、堀に海水を引き込んだ独特の構造を持つ城でもあります。今回、実際に玉藻城を訪れ、その歴史や特徴、見どころをゆっくりと巡ってみました。
瀬戸内海を利用した海城として築城
玉藻城は、天正15年(1587年)頃、豊臣政権の有力大名であった生駒親正によって築城が始められました。親正は讃岐国を与えられ、高松の地に新たな城を築くことになります。それまでこの地域には本格的な城郭がなく、瀬戸内海に面したこの場所を選び、海を巧みに利用した城を築いたのが玉藻城です。
当時の玉藻城は、三方を海に囲まれ、残る一方も堀で守られた強固な構造でした。特に特徴的なのが、堀に海水を引き込んでいる点です。満潮や干潮の影響を受けるため、水位が変化する珍しい堀であり、現在でも堀には海の魚が泳ぐ姿を見ることができます。今回の訪問でも、大きなクロダイ(ちぬ)を何度も見かけました。城の防御と海上交通の拠点を兼ね備えた、まさに瀬戸内海の城といえる存在でした。


高松藩の政治の中心として発展
生駒氏の時代は約50年ほど続きましたが、寛永17年(1640年)、生駒騒動と呼ばれる家中の争いにより改易となります。その後、東讃岐12万石の領主として入封したのが松平頼重です。頼重は徳川家康の孫にあたる人物であり、水戸徳川家の祖・徳川頼房の長男でもあります。
松平家が高松藩主となって以降、玉藻城は藩政の中心として整備されていきます。城郭の改修や建物の整備が進められ、近世城郭としての姿が整えられました。松平家は幕末までこの地を治め続け、玉藻城は約230年間にわたり高松藩の政治と文化の中心となりました。
明治以降の変遷と玉藻公園
明治維新後、全国の城と同様に玉藻城も役割を終えます。天守は早い段階で失われ、多くの建物が取り壊されました。さらに城の敷地の一部は埋め立てられ、現在の高松駅周辺の市街地へと変わっていきます。
しかし城の中心部は保存され、後に「玉藻公園」として整備されました。現在では高松市を代表する歴史公園となり、観光客や地元の人々が訪れる人気スポットとなっています。近年は櫓や門の復元整備も進められ、往時の城の姿を少しずつ感じられるようになっています。


見どころ① 重要文化財の櫓
玉藻城の見どころの一つが、現存する櫓です。中でも「月見櫓」「水手御門」「渡櫓」は江戸時代の建築がそのまま残る貴重な文化財で、国の重要文化財に指定されています。
月見櫓は海側を見張る役割を持った櫓で、瀬戸内海を背景に建つ姿がとても美しい建物です。城の防御施設でありながら、景観的にも優れた建物であり、玉藻城を象徴する存在といえるでしょう。


見どころ② 海水の堀
玉藻城を訪れてまず驚くのが、堀の水がとても澄んでいることです。実はこの堀には瀬戸内海から海水が引き込まれており、海とつながっています。そのため、鯛やボラなど海の魚が泳いでいる姿を見ることもできます。
日本の城の堀は通常は淡水ですが、海水を利用した堀は非常に珍しいものです。瀬戸内海の港町として発展した高松らしい城の特徴と言えるでしょう。


見どころ③ 石垣に黒いサヌキカイト
園内を歩くと、石垣に黒い鋭い石が多く使用されているのが目に留まります。これは、讃岐で”カンカン石”といわれる叩くと音が鳴る名石で、割れた面が鋭く鋭利で、玉藻城独特の味わいを感じれます。また、石垣をよく観察すると貝殻が付着した石も見ることができます。

高松駅から徒歩すぐの歴史スポット
玉藻城の魅力は、その立地の良さにもあります。JR高松駅から徒歩わずか数分という場所にあり、旅行の途中でも気軽に立ち寄ることができます。駅前の近代的な街並みのすぐ隣に、江戸時代の城跡が広がっているという景観はとても印象的です。
園内は広々としており、ゆっくり散策すると1時間ほどで一周できます。瀬戸内海の潮風を感じながら、歴史をたどる散歩が楽しめる場所です。


おわりに
瀬戸内海に面した海城として築かれた玉藻城は、日本の城の中でも非常に個性的な存在です。海水を引き込んだ堀、現存する櫓、そして高松藩の歴史を伝える城跡など、見どころも多く、歴史好きにはたまらない場所でした。
現在は玉藻公園として整備され、観光地でありながら地元の人々の憩いの場にもなっています。高松を訪れた際には、ぜひ立ち寄りたい歴史スポットの一つです。瀬戸内海の景色とともに、讃岐の歴史を感じられる玉藻城の散策を、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。現在、天守の復元等も検討されています。
アクセス・駐車場情報
玉藻城(玉藻公園)は香川県高松市の中心部にあり、公共交通機関でもアクセスしやすい立地です。
JR高松駅から徒歩約5分、高松港からも徒歩圏内にあり、四国旅行の玄関口から気軽に立ち寄ることができます。
所在地:香川県高松市玉藻町2-1
アクセス:JR高松駅から徒歩約5分、ことでん高松築港駅から徒歩約2分
駐車場: 城の南東側に玉藻公園専用専用駐車場はあります。