- 江波山気象館と広電江波車庫を訪ねて ― 気象の歴史と路面電車の息づかいを感じる散策
- 江波山公園へ向かう坂道
- 気象観測の歴史が残る江波山気象館
- 屋上から望む広島の景色
- フェンス越しに見る広電江波車庫
- 路面電車を支える整備の現場
- 気象と路面電車、二つの広島の歴史
- おわりに
江波山気象館と広電江波車庫を訪ねて ― 気象の歴史と路面電車の息づかいを感じる散策
はじめに
広島市中心部から少し足を延ばすだけで、空気の流れが変わる場所がありました。江波山です。住宅地の中にありながら、高台ならではの開放感と静けさが広がっていました。今回は、気象観測の歴史が残る江波山気象館と、すぐ近くにある広島電鉄の広電 江波車庫を訪ねました。分野は異なりますが、どちらも広島の暮らしを長く支えてきた場所で、広島らしさのありました。
江波山公園へ向かう坂道
横川駅から広電に乗り、のんびりと南下し江波線の終点江波駅に到着。ここから、さらに舟入通りを南に約1km、20分ほど住宅地の間を抜け、緩やかな坂道を上っていくと、江波山公園に着きました。やや桜の花は散り始めていましたが、次第に視界が開けていきました。頂上付近からは広島湾や市街地が見渡せ、この高台に気象観測所が置かれた理由がよく分かりました。
気象観測の歴史が残る江波山気象館
昭和初期の洋風建築が印象的な江波山気象館は、かつて広島地方気象台として使われていた建物でした。白壁と丸みのある窓が美しく、静かな佇まいでした。

幼い子供さんとの家族連れが多く、訪問時にちょうど、サイエンスショーをしていて、小学生の理科の実験を思い出しながら、過冷却水の実験、空気圧の実験、空気砲の体験を楽しみました。


館内では、雲や雨、台風の仕組みなどが分かりやすく展示されていました。体験装置もあり、大人でも興味深く見学できました。過去に広島を襲った台風や豪雨の記録、さらには原爆投下当日の気象データも展示されており、この場所が広島の歴史と深く関わってきたことを実感しました。また、市内側の室内の壁には、被爆時にガラス片が突き刺さったまま、残されている所や、窓枠が変形したものもありました。

屋上から望む広島の景色
屋上に出ると、さらに開放的な景色が広がりました。


広島市街地と瀬戸内海、遠くの山並みまで見渡せました。風の通りもよく、観測地点として優れていたことを体感できました。しばらく景色を眺めながら、静かな時間を過ごしました。


また、1階に降り、建物の市内方面に出ると、被爆時の外壁や、変形した窓枠を見ることができました。


フェンス越しに見る広電江波車庫
気象館を後にして坂を下ると、広島電鉄”広電 江波車庫”が見えてきました。フェンス越しに、多くの路面電車が整然と並んでいました。普段市内を走っている車両が休んでいる姿は新鮮でした。

路面電車を支える整備の現場
江波車庫では、車両の点検や整備が行われていました。タイミングが合えば、ゆっくりと出庫していく電車の様子を見ることができました。レールのきしむ音やモーター音が、静かな周囲に響いていました。

被爆後もいち早く復旧し、市民の足として走り続けてきた広島の路面電車。その車両たちがここで整備され、再び街へ送り出されていることに、深い歴史を感じました。


気象と路面電車、二つの広島の歴史
気象の記録を続けてきた建物と、街を走り続ける路面電車。わずかな距離の移動でしたが、異なる分野から広島の歴史に触れることができました。ともに、原爆投下地点より4km以上離れていたため、被爆後にも使用され続けてきたのだと感じました。
また、被爆のことしか知らなかったですが、8月6日の原爆で大きな被害を受けた広島の街に、追い打ちをかけるように1か月後の9月17日に巨大な枕崎台風が襲来し、広島県内だけで、2000人以上の犠牲者が出たことを知り、何とも言えない気持ちになりました。
おわりに
江波山は桜や新緑、紅葉の季節も美しいと知られています。江波山にしかない江波山桜なども咲いています。季節を変えて再訪したいと思いました。広島市内でゆったりと過ごせる半日散策として、心に残る時間でした。