- 横川駅で『日本最初の乗合バス』に会う
- 横川駅と日本最初の乗合バス
- 駅前に展示される復元車
- なぜ横川だったのか
- 当時の運行は苦労の連続
- 写真撮影にもおすすめ
- 横川散策も楽しめる
- 日本のバス文化の原点を知る場所
横川駅で『日本最初の乗合バス』に会う
はじめに
広島市西区にある横川駅を訪れると、駅ロータリーに一台のレトロなバスがあります。普段は何気なく通り過ぎてしまう人も多いかもしれませんが、このバスは日本の交通史において非常に重要な存在です。
展示されているのは、「日本最初の乗合バス」を再現した車両です。現在では全国各地で当たり前のように走る路線バスですが、その始まりが広島・横川にあったことは意外と知られていません。
今回は横川駅を訪れ、日本最初の乗合バスの歴史や展示車両の見どころ、そして横川という町が交通の要衝として発展してきた背景を紹介します。
横川駅と日本最初の乗合バス
現在の横川駅はJR山陽本線・可部線、そして広島電鉄が乗り入れる交通の結節点です。しかし約120年前、この地はさらに新しい交通文化が誕生した場所でもありました。
1905(明治38)年2月5日、横川と北部に位置する可部を結ぶ約15kmの区間で、日本初の営業用乗合バスが運行を開始しました。

運行したのは「横川-可部間乗合自動車」と呼ばれる路線です。当時はまだ自動車そのものが珍しく、人々にとって「馬車ではない乗り物」が定期的に走ることは画期的な出来事でした。
当時の道路事情は現在とは比較にならないほど悪く、未舗装の道がほとんどでした。エンジン性能も決して高くなく、故障もしばしば発生したといわれています。
それでも、この挑戦は日本のバス交通の歴史の第一歩となりました。

駅前に展示される復元車
横川駅南口には、その歴史を伝えるために復元された乗合バスが展示されています。雨除けの小屋に大事に保管されています

車体は木造をイメージしたクラシックなデザインで、現代の大型バスとはまったく異なる雰囲気です。
車輪は細く、屋根は高く、まるで馬車を自動車にしたような姿をしています。
実際に近くで見ると、木製の車体、小さなヘッドライト、細いタイヤなど、明治時代ならではの造りがよく分かります。
開業当時、バスは12名乗りで、片道の運賃は24銭で今の金額で1500円ぐらいでした。

「これが本当にバスだったのか」と驚かされるほど素朴な造りですが、この一台が全国へ広がる路線バスの始まりとなったことを思うと感慨深いものがあります。
なぜ横川だったのか
当時の横川は広島市中心部と可部方面を結ぶ交通の玄関口でした。
可部方面は農産物や木材などの物流が盛んな地域で、多くの人々が広島市内との往来を必要としていました。

明治38年当時、横川-可部間は鉄道もなく、6年後の明治44年になり、ようやく開通しました。
当時の運行は苦労の連続
もちろん、日本初の試みは順風満帆ではありませんでした。
舗装道路が少なく、雨が降ればぬかるみになり、坂道では思うように進めません。
故障も多く、運転技術も現在とは比べものにならないほど難しかったはずです。
さらに燃料や整備体制も十分ではなく、運転士や整備士は日々試行錯誤を重ねながら営業を続けました

こうした努力が積み重なり、日本全国へ乗合バスが普及していったのです。
しかし、わずか9か月で運行を停止しました。
写真撮影にもおすすめ
展示車両は自由に見学できるため、写真撮影にも人気があります。
「昔と今」を一枚の写真に収められる場所は意外と少なく、鉄道やバスファンだけでなく、歴史好きにもおすすめできます。
横川散策も楽しめる
横川駅周辺は近年、おしゃれなカフェや飲食店が増え、散策にも人気のエリアです。
歴史ある駅舎を眺めながら歩くと、昔ながらの商店街や個性的なお店も点在しています

さらに広島電鉄が駅前を走る様子も見ることができ、鉄道ファンには見どころが尽きません。

乗合バスを見学したあと、街歩きを楽しむコースもおすすめです。
日本のバス文化の原点を知る場所
普段何気なく利用している路線バス。
通勤や通学、買い物や観光など、私たちの生活に欠かせない存在ですが、その始まりは広島・横川でした

展示車両を目の前にすると、日本の公共交通がどのように発展してきたのかを身近に感じることができます。
横川駅は、日本の交通史に残る重要な場所でもあるのです。

広島市内を訪れる機会があれば、ぜひ横川駅に立ち寄り、日本最初の乗合バスの姿をじっくり眺めてみてください。明治時代の技術者や運転士たちの挑戦に思いを馳せながら見学すると、普段見慣れたバスの存在が少し違って見えてくるはずです。
最後に
横川駅前に展示されている日本最初の乗合バスは、日本のバス交通の歴史を今に伝える貴重な存在です。明治時代に始まった小さな挑戦は、全国へと広がり、現在の便利な公共交通網の礎となりました。
駅前に立つ復元車は、現代の交通と歴史が交差するシンボルでもあります。広島市内観光や鉄道・交通史巡りの際には、ぜひ足を止めてその姿を眺め、日本の乗合バス発祥の地・横川の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。